私の休日 (1)

9月27日 土曜日
しばらくの間美容院に行けなくなるので、行き付けの美容院に行く。ヘナとセットをしてもらう。ついでに最近始めたメイクもしてもらうことに。ここのオーナー美容師さんとはもう15年以上の付き合い。一人でやっているこじんまりとした美容院。木の地肌の色と黒を巧みに使った洒落た感じのお店。ここの美容師さんに会うまで何人も変えた。どの人もイマイチでフィーリングの会う人が居なかった。単に技術とかセンスだけじゃなくて、その人の醸し出す雰囲気とか、話の内容とか話し方とか、そんなものも気になるところ。へナとパーマをしてもらうと3時間以上掛かってしまう。そんな長い時間むっつりと椅子に腰掛けて髪の手入れしてもらうのもつまらない。たいした話をするわけじゃないけど。噂話とか、誰それがお見合いの相手探しているとか、どこのお店に可愛い服があったとか。そんな他愛のないお話。でも、そんなお話の中に何とはなしに人柄が現れる。私にとっては忙しい仕事の合間を縫って訪れる、いわば都会のオアシスのようなところになっている。

いつものように他愛のないお喋りをしながら、へナ、セット、メイクとしてもらう。やはりプロ。自分でするよりずっときれいにメイクされていく。まるで自分じゃないみたい。自分で整えた眉が気に入らない。どうしたら良いか相談した。すると、いっそのこともっと大胆にカットしてから描いた方がきれいに仕上がる、というので、眉カットもしてもらう。私の眉は目尻にいくにしたがって下向きに生えている。なるほどカットして描いたほうが楽に整えられる。いつもはヘナの色に合わせて眉マスカラをしている。でも今日は同系統の色がないので、眉マスカラはしない。こげ茶のような色で眉を描いていく。
チークにピンク系を使ってみた。今までピンク系はほとんど使ったことがなかった。しかし意外ときれい。なんとなく顔全体が明るく暖かい感じに仕上がっていく。全部で3時間ほどで終わった。鏡に映った自分の姿。少し茶色がかったオレンジの髪が背中の真ん中より少し下まで伸びている。一度アップにしてもらった事があった。なかなか感じよく仕上がって気に入っていたが、自分でセットするのは大変。今度ここでアップにセットしてもらおうかしら。目元がはっきりしているが、嫌味にならず自然な仕上がり。全体に暖かな感じ。気分まで暖かくなってくる。鏡の中の自分を見て思わず微笑んでしまった。
タクシーを呼んでもらい、美容院を後にする。今度来るのは多分12月か。

スケジュール帳には、明日までの予定と、30日の予定しか書いてない。今日は、JRで成田空港まで行き、近くのホテルで泊まる。成田第2空港ビル駅で下車。閑散としている。ホームを出るとパスポートチェックがある。身分証チェックとかIDチェックとかはどうもあまり良い気分がしない。パスポートチェックもそう。なんだか悪いことをしていて、咎められるんじゃないかと思ってしまう。別に悪い事をしているわけじゃないので、気にする必要など無いけれど・・・。パスポートを係官に見せ、変な顔もされず何事も無く通過。ホテルまではバスで数分。ビジネスホテル風の左程大きくないホテル。エントランスを入って左手にフロント。チェックインし、先に送っておいたスーツケースを受け取り部屋へ急ぐ。東京のマンションに着いた時から、嫌な予感がしていた。部屋に入り急いで、スーツケースを開け中を調べる。

無い・・・

Posted by rei | Category: librarie > 私の休日 | 0 comments | 0 trackback

私の休日 (2)

やはり忘れてきた。大事なものを。
昔から、大事な時に決まって何か失敗したり忘れたりする。
TCを自宅に忘れてきたのだ。
急いで自宅に電話し、心当たりのある場所を教えて探してもらう。

長い。
とても長く感じる。
どれくらいの時間が過ぎただろうか。
電話が掛かってきた。

あった!

別のキャリーバッグに入れてそのまま出掛けてきてしまったのだ。明日空港でTCを買っても良いが、どうしよう・・・。色々考えたが、結局航空書留で送ってもらう事にした。ユカに送ってもらうように頼み、ホテルからインターネットにつなぎ、ユカにメイルを送る。今日は土曜日、ユカがこのメイルを読むのは29日になってしまう。発送も月曜日になってしまう。結局、向こうについてからのことになってしまう。いまさらどうしようもない。

イベントを計画したり、ちょっと長期の旅行に行くときなど、必要なものとか何かトラブルが起きたときの対処の仕方なんか、いろいろ考えて入念な準備をしようとする。どんな状況に遭遇しても対応できるようにあらかじめ考えておく。持ち物とかスケジュールとか、やっておかなければならないこととか、繰り返し確かめる。絶対大丈夫なはずなのに、予定の日が近づくにつれ次第に緊張感が高まり、不安になってくる。
そして・・・いつも土壇場になってヘマをする。万全の筈が抜けている事があったり、予期せぬ事が起きたり、今回のように忘れ物をしたり、と。
ところが不思議な事に、何かトラブルが起きた時の対応は早い。それが予期せぬトラブルであっても、何とか切り抜けてしまう。どんなに困難な状況と思われても、何とかしてしまう。そして何とかこなしてしまうと、そんなトラブルに見舞われたことなど、けろっと忘れてしまい、再び、同じような間違いをしてしまったりする。懲りない性格というのか、学習能力の欠如というのか・・・。
打てる手は全て打った。クヨクヨ考えても仕方が無いけれど、気になって仕方がない。明日は早く起きなければならない。ホテルを8時ごろ出るバスに乗らなければならないから、4時に起きないと間に合わない。もう0時を回っている。
TCの事が気に掛かり寝付かれない。

Posted by rei | Category: librarie > 私の休日 | 0 comments | 0 trackback

私の休日 (3)

9月28日 日曜日
何とか4時に起きた。昨日のうちに宅急便でホテルまで送った荷物ともてきた荷物の整理は済ませていたので、特にすることも無い。いつものように出掛ける用意をし、着替えをして、散らかっている荷物をまとめる。荷物はハンドバッグとスーツケースのみ。機内でパソコンを使うことも無いので、スーツケースに入れてしまった。大丈夫だろうか。部屋を2度3度と忘れ物がないかチェックしフロントへ。フロントにスーツケースを預け、朝食をとることにする。ビジネスホテルにはほとんど泊まったことが無いから良く分からないが、多分ビジネスホテルみたいな造りなのだろう。ロビーの半分以上が衝立で仕切られた喫茶室みたいになっていて、そこで朝食が取れるようになっている。
朝食はバイキング形式。
私はこのバイキング形式の朝食が嫌い。サラダが干からびていたり、スクランブルエッグが生温くなってペースト状になっていたり、オムレツはかまぼこみたいだったり、どれも美味しいとは思えないからだ。
和食のバイキングはまだましなのかも。お味噌汁に鮭の切り身を焼いたもの、海苔、納豆、生卵。焼き魚ぐらいかしら、調理したてでないと美味しくないのは。
朝食はいつもあまりとらない。ジュース、フライドエッグ、ベーコン、サラダを少し、それに食パンと紅茶。
いつもは、飲み物と果物だけだったりする。
・・・美味しくない。
これからバカンスと言う感じがしない。
仕事柄旅行が多い。今日も、そんな仕事での旅行みたいな気がする。
もくもくと朝食をすませてから、チェックアウトする。

バスが来るまで多少時間がある。何人かバス待ちの人が居る。家族連れ、老夫婦、外人、バックパッカー。
観光旅行らしき人は見かけない。所在無げにエントランスホールをウロウロする。両親と二人の子供の家族は多分転勤なのか、荷物が多い。なんとなく旅慣れている感じがする。二人の子供も外国に行くと言う感じではなく、家に帰るような感じ。
休日にホテルやターミナルでよく見られる喧騒が嫌い。子供がはしゃぎ回ってうるさくする、あの雰囲気が大嫌いなのだ。
ここは、大きなホテルではないし、フロントもそれほど広くない。客も多い方ではない。それに何より日曜日ではあるけど連休ではないので観光客がいない。
ここにそんな喧騒はない。

成田空港は何年ぶりだろうか。旅行社から送られてきた案内書を頼りにチケットの受け渡し場所を探す。体育館のような高い天井と広い空間。混み合っているというほどではないが、たくさんの人が居る。いったい何人の人がこの日、ここから外国に飛び立つのであろうか。
それほどウロウロしなくても受け渡し場所は見付かり、チケットを受け取ることができた。出発まで2時間弱。何のトラブルも無く時間が余ってしまった。カートにスーツケースを乗せ、いくつかある両替所のレートを見比べる。どこも差はない。結局窓口の空いているところでバーツを10万円買った。33000バーツほど。
うっ、US$が安い!

両替しなかった円をお財布から封筒に移し、バーツ紙幣を入れる。さて、これからどうしよう。しばしそこら辺をウロウロするが、何があるわけでもなく時間をもてあましている。結局、何もする事がないので、少し早かったがチェックインすることにした。エコノミーのチェックインカウンターはそれなりに混んでいたが、ビジネスは空いていた。窓側の席にしてもらい、スーツケースを預ける。出国手続きを済ませ、シャトルに乗り、専用ラウンジでしばし休憩。
感じの悪い男が3人。
サンドウィッチ、クッキー、飲み物がセルフサービスで用意されているのだが、サンドウィッチをお皿にたくさん取り、だらしない座り方をして、大きな声で話している。傍若無人とでも言おうか。3人とも脂肪太り、ぶよぶよのお腹、最悪。彼等が出て行った後には、持って来たサンドウィッチの食べかけが山になっている。ゴミは散らかし放題。いったいどういう神経をしているんだろう。あんなのと同じ飛行機だったら嫌だな・・・。

Posted by rei | Category: librarie > 私の休日 | 0 comments | 0 trackback

私の休日 (4)

飛行機は空いていた。座席に着き、毛布をもらいシートベルトを締める。
眠い・・・
10年ぶりに取れたまとまった休日。仕事以外での海外旅行なのに、何の感激もない。
実感もわかない。
仕事で出張する時とまったく変わらない。
離陸後、お決まりの安全に関する注意、ライフベストの使い方など非常時の対応についての説明がある。タイ語、英語、それに日本語での説明。一通り終わり、機内食のメニューが配られる。飲み物が運ばれ、シャンパンをもらう。しばらくしてオーダーをとりに来る。あまり食欲がわかない。
だいたいいつも昼食は取らなかったり食べても軽く、なのだが・・・。
なんだか夕食のフルコースのような感じ。肉類はさけて魚を選ぶ。機内食ってあんまり美味しいと思った事はない。ファーストクラスだともっと美味しいのかしら。でも、この便にはファーストクラスがない。
結構量がある。ゆっくり休み休み食べるが、パーサーが頻繁に通り、隙あれば、下げて次の料理を運ぼうと虎視眈々と狙っている。フライト中のスケジュールが決まっていて、その通りにいかないと何かとクルーの仕事に支障があるのかしら。まぁ、何とか時間は掛かったけど一通り食べ終わった。

機内サービスが一段落し明かりが消された。とりたてて見たい映画もなかったのでBGMを聴きながらうとうと。
眠い。とにかく眠い。
なのに熟睡できない。
緊張しているのか、興奮しているのか。
それとも眠すぎて熟睡できないのか。
どっちにしろ、あんまりまともではないみたい。
原稿書いたり、企画書に目を通したり、出なければ寝ているか。いずれにせよ、目的地に到着したらしなければならないことがはっきりしているし、言わば機内ではそのための準備。
今は目的地についてもしなければならないことは何も無い。何もないことが不安定な原因なのかもしれない。

プーケットが近くなり、通関手続き、入国手続きの書類をもらう。パーサーに説明してもらいながら記載する。
定刻より早くプーケット国際空港に着く。やはりビジネスクラスはいい。荷物が早く出てくる。2番目に出てきた。カート置き場からカートを引っ張り出そうとするが、引っ掛かってなかなか出てこない。持ち上げて引っ張らないと出ないみたい。力がなくて持ち上がらない。仕方が無いのでそばにおいてあった小さいカートにスーツケースを乗せる。国際線はそれほど頻繁に来るわけではないのだろう、閑散としている。
入国手続きのカウンターに誰も居ない・・・。
と思ったら、出てきた。私が最初みたい。パスポートと機内で記入した用紙を出す。滞在先の書き方を間違っていたので、ホテル名に訂正する。ペタンとスタンプを押し何事も無く、「良い旅を」の一言と共に、タイ国内に足を踏み入れた。プーケット国際空港は、日本のちょっと大きい地方空港のような感じ。それほど大きくはない。
税関を通り外に出ると、居る居る。ユカがメイルで言っていた客引きがたくさん居る。うるさく言ってくるようならはっきりと断るようにとメイルにあったが、知らん顔で無視する。ジェフが迎えにきてくれることになっているが、私が分かるだろうか。しばし建物の入り口付近をウロウロ。

Posted by rei | Category: librarie > 私の休日 | 0 comments | 0 trackback

私の休日 (5)

ふと車寄せに目をやると、明らかに他の客引きとは違う風貌の男性が目に入る。ほとんど同時に彼が、私の方を向いた。私も彼もすぐに分かった。初対面なのに不思議。Ms.MISAKIと書いた厚紙を持っていたが、読まなくても分かった。ジェフはここで待つように言って、車を取りに行った。荷物をトランクに入れ助手席に。初めて見るプーケット。これといって感動する事も、驚く事も無かった。後ろに流れていく景色は見慣れた景色だった。日本のそれと変わらない景色が続く。南の国の植物と、道が広い事。そして看板の文字が全然読めないことを除いては。
プーケット国際空港は島の北側、ホテルのあるプーケットタウンは、島の中央より南側。3,40分で着く。途中、「プーケットは初めてか?」とか、ジェフが英語で話し掛けてきた。訛りがきつく良く分からない。それでも何とか会話になる。
車は多くもなく少なくもなく、でもみんな飛ばしてる。
建物がちらほら見えるようになってきた。通りに面したところはお店が多いのだろうか。 Coca Coraの看板が見える。骨董屋さんみたいに見えるお店はいったい何を売っているのだろう。大きなつぼがいくつも置いてあった。洒落たお店、店構えの立派なお店はない。営業しているのかしてないのか分からないようなお店が多い。
何とかビーチと言う看板がいくつも出てきた。建物が増え街が近づいてきたことを感じさせる。街中に入るとさすがに今までのノンビリした雰囲気とは違ってきた。東京や上海のように喧騒渦巻く、よく言えば活気に満ちた街とは言えないが、それなりに活気がある。なんとなく時間の流れがゆったりしているように感じられる。いかにもタイと言う風情の建物もある。ロータリーの真ん中に誰かの像が立っている。国王の像かしら。
タイって王国・・・。
やがて、大きなスーパーの前を通り、右手にホテルが見えてくる。「あそこだよ」とジェフが教えてくれる。見たところあまり大きなホテルではない。そう言えば、ここには高いビルが見当たらない。中心地区に行くとあるのだろうか。
ジェフが荷物を降ろしている間辺りを見回すと、確かにここはタイ、プーケット。街中のホテルだから、観光客然とした人はそれほど多くない。プーケットのシーズンは確か11月からだった。今はオフシーズン、そのせいもあるかもしれない。
DSC00324-000-480.jpg
日差しが強い。
紛れも無く南国の太陽。
ジェフの呼ぶ声がする。

・・・
・・・

Posted by rei | Category: librarie > 私の休日 | 0 comments | 0 trackback

1/1
CALENDAR
<< December 2012 >>
SunMonTueWedThuFriSat
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
New Entries
Categories
Recent Comments
Archives

Profile
Other
  • count : hits!